スマホアプリやブラウザゲームの普及に伴って、今まで麻雀に触れてこなかった人達も、オンラインで気軽に麻雀を楽しむようになった。
これも偏に、4シーズン目に突入し大いに盛り上がりを見せているMリーグの影響…なんてことは全くなく、大体雀魂の功績だろう。
余談だが、筆者は雀魂によいイメージを持っていない。その理由を語ると、大きく脱線してしまうので割愛しよう。
いや、やっぱ、むかつくから書くわ。
【雀魂の悪いところ】
・三人麻雀で抜きドラ(北)を採用しているのはよいが、都度「ペーですわ」「ペーにゃ!」という発声が入る。
麻雀の発声は「リーチ」「ポン」「チー」「カン」「ロン」「ツモ」以外ねーんだわ、お前花牌抜くときに「春」とか「夏」とか言うんか?
と思ったが、筆者の最寄り雀荘のメンバーも「ペー」って発声してたのでギリ許す。
・アガリ後の手役表示で、表ドラと裏ドラが両方あるとき、別々にカウントして読み上げる。
例えば、表ドラ2枚の手をツモって裏ドラが2枚乗ると「リーチ」「ツモ」「ドラ2」「ドラ2」って言われて「は?」ってなる。死ね。
以上だ。思ったより無かった。
数回のプレイでこの二つがめちゃくちゃ気になってクソ判定してから触ってないから仕方ない。
さて、話を戻そう。
麻雀アプリから麻雀を始めることで、一つの弊害が生じている。
そう、それは「点数計算」だ。
麻雀初心者がまず最初にぶつかる高い壁として立ちはだかる「点数計算」が、アプリによる自動化によって省略されてしまっている。
(まあ、20年以上前から存在する麻雀ゲームですでに確立されている技術ではあるが)
点数計算出来なくても、麻雀を楽しむことができてしまうのだ。
ちなみに、フリー雀荘に行く人でも、点数計算が苦手という人はいる。
卓に入るときに「点数計算苦手なのでお願いします」と言われることもある。一声あれば、こちらもその程度のサポートは気持ちよくできる。
なので点数計算を完全に把握していないこと自体は、麻雀を楽しむという次元ではなんの問題もない。
だが、点数計算ができない時点で、麻雀が強い弱いのスタートラインにすら立ってないのである。
点数計算は麻雀の基本である。ルールである。
それすらできないまま、「僕麻雀強いんで」って顔してるバカが増えてしまったのだ。何が雀聖かて。
麻雀漫画界の大御所、片山まさゆきの作品「牌賊!オカルティ」にて、主人公である朧プロがタイトル戦決勝に向かう電車内、麻雀ルールブックで点数計算のページを読むシーンがある。
そこに現れた無頼堂プロが「タイトル戦前に点数計算の確認かよ」と嘲笑気味に声をかける。朧プロはそれに「プロ野球選手もキャッチボールはするでしょ」と答える。
参考資料がなかったため、筆者の記憶だけで再現したが、概ねこんな感じだった気がする。たぶん。無頼堂じゃないかも、いや無頼堂だな間違いない。
ちなみに「牌賊!オカルティ」は、昭和から平成にかけての麻雀界における一大テーマと言ってもいい「デジタル対オカルト」を主軸とした作品である。
「流れ」や「ツキ」を意識したオカルト派は過去においても現代においても異端だが、麻雀に携わる者なら小林剛を除いて誰もが意識したことのあるテーマだ。
Mリーグにおいても、実況の日吉プロと解説の土田プロの二人がオカルトを前面に押し出したりそれを撤回したりする芸風でファンを楽しませている。
『麻雀に流れは存在するか』という問いは麻雀界において、永遠に答えのでないテーマなのである。
ちなみに筆者がそれを問われたならこう回答する。
『麻雀に流れは存在するが、私程度ではそれをどうすることもできないので普通に打つ』
これは、Mリーグ公式解説者の渋川プロの完璧な回答でもある。
余談だが、筆者が20年以上前に雀荘メンバーをしていたときに、アルバイトで一緒に働いており現在は女流プロである早川プロと、渋川プロが交際しているという噂がある。ガチの余談だ。
片山まさゆきは、自身が麻雀の実力者でもある。
みなさんは、桜井章一という人物をご存じだろうか。数々の映画や漫画のモデルになった、20年間無敗の男、雀鬼と呼ばれた人物である。
第一打で字牌を切ってはいけない、ドラはテンパイまで切ってはいけない、など独自のスタイル(雀鬼流)を一部ファンに定着させた老害でもある。
片山まさゆきらも連載している、麻雀漫画雑誌の頂点(というかもうほとんどこれしかない)「近代麻雀」を出版している竹書房が、プロ、アマ問わず麻雀の最強を決めようというテーマで主催した「麻雀最強戦」の第一回開催において、ファンやプロから桜井章一の参戦が大いに期待された。
しかし、桜井章一は自身の参戦を拒んだ。界隈から失望の声があがる中、桜井章一は片山まさゆきを代理として推薦したのだ。
「もし片山まさゆきが負けたら、桜井章一が負けたということにしていい」という言葉と共に。
そして、片山まさゆきは、初代麻雀最強戦優勝者となった。
まあ、これもどこまでがほんとかわからんけどね。
その片山まさゆきの作品に、麻雀初心者のためと言える作品がある。それが「打姫オバカミーコ」だ。
麻雀女流プロ、という生き方にスポットを当てながら、麻雀の基本的かつ重要な考え方を毎話1つずつ詳しく解説していく、麻雀初級者や中級者への上達指南書としても非常に優秀な作品である。
そういえば、この作品の中でも「デジタル対オカルト」の構図が一部描かれたことがある。
だが「牌賊!オカルティ」とは大きく異なり、「テンパイ効率対打点効率」を軸とした実践的な対立が表現されていた。
その背景には、麻雀の進化ともいえる、ブームの変遷があるのだが、それに触れると、いつになっても点数計算の話が始まらないので割愛しておこう。
次回未定